㊻FIRASTINEのCD4枚 「THE INFERNAL NOIZE BRIGADE」のCDでも紹介したFIRASTINEのCD4枚。 ルーツ・ミュージックがベースの一つにありつつも、第三世界であり辺境の場所で出会った声なり音を繋ぎ合わせて作られたアンチ・グローバリゼーションの闘士による人間の固定概念をすり抜けていくノマド的レベル・ミュージック。 日本来日時にECD（日本のラッパー）や「DeepThroat X」が参加したセッション曲も収録。 ㊼『谷川雁 関連資料』 〈上昇していく流れと力学〉ではなく、炭鉱労働のごとく、〈沈殿し、沈下していく日常〉の中から詩や言葉を紡いできた氏を出発点とした関連資料（イベントや研究会で使用された物）。 同時代の多くの人が組織論なり「理論化の呪縛」というゆりかごに閉じ込められてしまった時代情況のなか、氏の作業であり周辺の人から、〈音（楽）〉なりを手掛かりに脱出と突破の潜勢力を嗅ぎ取ろうと試みた関連資料。 平岡正明（痛快）や中平拓馬の関連文章もあり。 ㊽『労働歌・ベストセレクション「しあわせの歌」』（かなりのレア？） （前商品とも関連するが）演奏は戦後だが、原曲は戦前も含まれている労働歌集。 聴き方や聴くたびごとに耳が鍛えられていくと想えるアルバム。 演奏：中央合唱団、三多摩青年合唱団、労働者合唱団、国鉄のうたごえ合唱団、国鉄広島ナッパーズ、東京のうたごえ、新星日本交響楽団 ㊾『パリ68年5月 叛逆と祝祭の日々』江口幹 大学で起きた校内の抗議運動は所詮は限定的なものと思われていた。官僚は三ツ星料理と熟成ワインに舌鼓を打ち、労働者大衆の一定は海にヴァカンスに出かけるといった具合に余暇を謳歌していた。 大学という社会から隔絶することで自律を担保していた場所は気づけば社会空間という変質へと開かれ、工場占拠の連帯に端を発した全的異議申し立ては瞬く間に全土へと拡大し、ゼネストが五月雨式に巻き起こる。社会統治機能の根幹に切断の切れ目が走ることで、時の大統領の退陣に留まらず、体制転覆寸前にまで事態は劇的に発展した。 高度資本主義の時代に突入した先進資本主義国で、想定外の「状況の構築」はいかにして起きたのか。当時の証言と資料を丹念に紐解き、実態（深層）に迫った本書。名著。